レッドブル・エアレース2017千葉大会報告リポート

究極の三次元モータースポーツ「Red Bull AIR RACE(レッドブル・エアレース)」が3年連続3回目の開催を千葉海浜幕張公園で迎えました。アジア初のエアレースパイロット室屋義秀選手に2年連続表彰台の期待がかかったエアレース・ワールドチャンピオンシップ2017第3戦千葉大会は6月3日(土)予選、4日(日)決勝レースを開催。両日合わせて約9万人が来場し、ハラハラドキドキの劇的な結果に観客総立ちの大盛り上がりでした。

過去2年間は強風と雨に泣かされ、今年は金曜日のテスト飛行が強風のため中止となりましたが、土曜日の予選の前に全員のテスト飛行が行われ、土日ともに最高のお天気で無事、予選、決勝が行われました。予選を見に来られたお客様は各選手2本のテスト飛行まで実況付きで見ることができ、ある意味、贅沢な観戦になったと思います。

決勝は過去最高の高速タイムでのレースとなり、各ラウンドで波乱が起こるスリリングな展開に手に汗にぎっての応援となりました。2戦目のサンディエゴ大会で海外初優勝を遂げた凱旋レースでもあった千葉大会は室屋選手に過酷なプレッシャーを与えたことと想像できます。しかしながら、前日の夕方に浦安のハンガーで行われた全パイロットでのサイン会には1000人のファンが集まり、室屋選手は3~400名、一人ひとりに丁寧にサインをしてくれました。こんな状況は初めてのことであり、しかも室屋選手以外の海外パイロットにも列ができ、1時間の予定を延長するという盛況ぶりに全パイロットのモチベーションが上がったそうです。エアレースというイベントが日本に根づきつつあると言えるでしょう。

AVIREXはセンターゲート前にブースを設置。 エアレースのスタッフユニフォームのレプリカやエアレースパーカ、Tシャツ、パイロットベアを販売。ブース横には黄色の小型機「AVIREXマイクロプレイン」を展示。また、AVIREXが所有しているドイツの航空機メーカー「メッサーシュミット社」が開発したタンデム2人乗りのメッサ―シュミットにお子様を乗せて写真撮影やアーティストのBOXER淳太郎によるライブペイントなどイベントを行い、たくさんのお客様で賑わいました。

時折り吹く風が心地良い、快晴の幕張海岸で繰り広げられたレッドブル・エアレース千葉大会決勝戦。会場にはパブリックビューイングが設置され、観客席にも大きなディスプレイビジョンが何台も設置されていて、どのエリアからでもレースの状況が分かり、AVIREXのCMも流れました。千葉大会のレーストラックの平均周回タイムは約1分。そして、そのタイム計測の基準点となるスタート/フィニッシュゲートは、他のレーストラックと異なりレーストラックの中央に設置されていますが、ちょうど一番難しいシケインのところにAVIREXのパイロンが立っていたことにお気づきになりましたか?

 

決勝の前、12時50分に70年振りに日本人パイロット、柳田一昭氏の操縦による零戦が飛来。君が代斉唱そして翼の日の丸を見た時は涙する観客もいて、感慨深いものがありました。13時5分から1対1のノックアウト方式による「ラウンドオブ14」がスタート。先日の予選4位で、決勝は第2ヒート、4番手に登場した室屋選手は、3番手に飛んだ対戦相手のコプシュタイン選手に前半リードを許す苦しい展開でゴール。静まり返る観客席で誰もが祈るような気持ちでビジョンを見ていましたが、最終結果は0.007秒差でコプシュタイン選手をかわし、見事にラウンドオブ8に進出。なお、コプシュタイン選手もファステストルーザーとしてラウンドオブ8進出を決めました。ドルダラー選手やマクロード選手など、予選上位選手は全員ラウンドオブ8に進出しました。

「ラウンドオブ8」の1番手で飛んだ室屋選手。果敢に攻めたフライトは鬼門のゲート7でIncorrect Levelのペナルティ。2秒加算になるまたまた苦しい展開。しかし、対戦相手のホール選手もゲート11でClimbing Inのペナルティで2秒加算という不運もあり、結果、室屋選手は56秒964でホール選手を0.331秒上回り、辛くもファイナル4進出を決めました。次第に風が強くなり難しいレースコンディションの中で行われた「ファイナルラウンド4」。ここからは4人のパイロットのタイムによるレースになります。再び室屋選手はトップバッターでフライト。タイムは55秒288の高速タイムを叩き出しました。

続く、コプシュタイン選手は55秒846で室屋選手を上回れず。3番手は昨年のワールドチャンピオンのドルダラー選手。予選からリードを奪う絶好調さで室屋選手を大きく上回る速さで最終コーナーへ。しかし、好事魔多し。なんと11ゲートで痛恨のパイロンヒット。3秒加算の57秒943でまさかの脱落。そして最終飛行のソンカ選手もゲート4でのIncorrect Levelのペナルティにより2秒加算で56秒533。強風と1番手に飛んだ室屋選手のタイムが良かったことで後続の選手にかなりのプレッシャーを与えたものと思います。
幕張海浜公園にいた観客全員の歓声のボルテージがマックスになった瞬間、室屋選手の劇的な優勝、大会2連覇が決まりました。室屋選手の優勝を祝い、ステージに登場した大会アンバサダーのGLAYのミニライブは歓喜に酔うファンの熱気を乗せて大きな渦となり、快晴の空への祝砲となりました。

レース終了後には、出場チームのハンガーと滑走路がある浦安市で表彰式が行われたのち、レース会場のメディアセンターで1位の室屋義秀選手、2位のペトル・コプシュタイン選手、3位のマルティン・ソンカ選手による記者会見が行われました。室屋選手はこの日のレースについて「コプシュタイン選手とのヒートは1000分の7秒差。空からも観客の振るフラッグが見えたが、それをみんなで一生懸命振ったので機体が70cmぐらい前に出たのでは(笑)。本当にそのぐらいの差で、それで勝てたのではないかと思っていて、今日の最初の2本はラッキーなところがあり、それは自分だけの力ではないと感じた」と話しました。また、優勝を決めたファイナル4のフライトについては、「ラ ウンドオブ8でタイムは良かったので、あそこまで攻めるとペナルティをもらうギリギリのラインだった。戦略としてはノーペナルティで、良いタイムを狙うが、スーパーラップではなくてもよいだろうという戦略でいったので落ち着いて飛べた」とコメント。さらに「ラウンドオブ8あたりから風が強くなって、ラウンドオブ8は10ノットぐらい、ファイナル4は15~6ノット、最後は18ノットぐらいまで吹いた。非常にコース取りが難しくなり、ペナルティをもらったラウンドオブ8は風の影響。難しいコンディションのなかで対応していくのは困難だったが、ファイナル4は風のこともあったので最初のプランどおりスーパーラップを狙わずに確実に飛ぶ、そういうラインを選んだ。最終的にはそれが勝利につながった」と振り返りました。今回の優勝で2017年のワールドチャンピオンシップのポイントランキングでトップに立った点については、「第3戦が終わったところで、残り5戦、残りの方が多い。この先、すべて勝てるとは思わないが、ファイナル4にきちっと残っていくことで、ポイントは自然と貯まっていくので、ポイントのことをあまり考えずにコンスタントに良いレースを続けていくことが大事」、「前回のサンディエゴ戦は少し覚醒してるような感じがあって、勝てる感じがあった。しかし、今回は実は苦しい戦いだった。きわどい戦いで、自分のミスもあるなかで、ラッキーもあって勝ち上がったので、今日の勝利は自分の力だけで勝ったのではないとすごく感じる。それでも勝てるのは、それなりの底力を蓄えているとは思うので、残り5戦でもう少し精度を上げて、ワールドチャンピオンをとるためには、もう一段安定して戦う必要があると思う」と続けました。このほか、母国での開催でどのようにして落ち着いた状態を保てるかとの質問には、「9万人のファンが来てくださるのは非常に大きなプレッシャーといえばプレッシャーだが、応援もいただいているので、それを追い風と取るかは自分次第。自分にとっては声援が後押ししてくれると捉えていたので、それがうまく作用したと思う」と回答。レッドブル・エアレースの歴史において母国開催のレースで2勝以上した選手は、過去にポール・ボノム選手(英国)のみであることについての質問には、「パイロットとしてはただ飛ぶだけが一番理想だが、こうしてファンの皆さんにたくさん来ていただくことも大きな役目の一つなので楽しんでやらせてもらっている。しかし、それらをハンドリングしていくことが難しいシチュエーションもあった。ただ、2回目はうまくいったので、なんとなくコツがつかめたので(笑)、3回目もうまくいくんじゃないかなと思う」と来年の母国3勝目に向けての意欲も見せてくれました。

AVIREXがナショナルスポンサーとして千葉大会の国内外のスタッフのために制作・提供したユニフォームはCWUジャケット、パイロットシャツ、ファティーグTシャツ、ポロシャツ、ジャンプスーツの5型。皆さん、それぞれの担当業務に合わせたフォームを着て広い会場内を駆け足での大活躍でした。第4戦はハンガリーのブダペストで開催されます。
今年の目標はワールドチャンピオンとして表彰台の真ん中に上がることという室屋選手。
最終戦が終わったあと、その夢が叶っていることをAVIREXは大空に祈っています。